
イタリア生まれの愛らしい半球型ケーキ「ズコット」の魅力
ズコットは、伊太利亜のトスカーナ地方、中でもフィレンツェで生まれた伝統的な菓子です。その歴史は古く、文藝復興期に遡ると言われています。名前の由来は様々ありますが、有名な建築家、フィリッポ・ブルネレスキが考案した、兵士の兜「ズッコット」に形が似ているという説があります。また、聖職者が被る半球形の帽子に似ているという説も存在します。いずれにせよ、特徴的な半球形が名前の由来であることは確かでしょう。元々は酒精に浸した海綿蛋糕と凝乳で作られた簡素なものでしたが、時を経て様々な種類が生まれ、今ではカカオや木の実、乾果など、多くの材料が使われています。伊太利亜では、聖誕祭などの特別な日に食されることが多く、家族の団欒の象徴として親しまれています。近年では、その可愛らしい見た目と作りやすさから、わが国でも人気が高まり、家庭で作る人も増えています。ズコットは、単なる菓子ではなく、伊太利亜の歴史と文化が詰まった、奥深い菓子と言えるでしょう。その背景を知ることで、より美味しく味わえるはずです。