しっとり

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技法

湯煎焼きで極める、しっとりお菓子の世界

湯煎焼きは、お菓子作りで用いられる独特な加熱方法です。天板に水を張り、その中に生地を入れた型を置いて、オーブンでじっくりと焼き上げます。この方法の利点は、オーブン内の温度が穏やかに保たれ、生地への直接的な熱の伝わりを抑制できることです。そのため、お菓子全体が均一に加熱され、きめが細かく、しっとりとした食感に仕上がります。 特に、水分を多く含むお菓子、例えば焼き菓子や、滑らかな舌触りが求められる菓子を作るのに適しています。湯煎焼きを行う際は、湯の温度が重要です。熱すぎる湯を使うと生地が急に加熱され、湯煎の効果が薄れてしまいます。人肌程度の湯を使うのが良いでしょう。また、湯の量は型の半分から三分の二程度が目安です。少なすぎると効果が薄れ、多すぎると型に水が入る恐れがあります。 加熱時間も通常より長くなる傾向があります。湯煎によってオーブンの温度上昇が緩やかになるためです。焼き加減は、表面が固まり、竹串などで刺して生地が付いてこなければ完了です。湯煎焼きは少し難しく感じるかもしれませんが、コツを掴めば美味しいお菓子を作れます。ぜひ挑戦して、極上の味わいを楽しんでください。
材料

転化糖の魅力:お菓子作りを豊かにする魔法の甘味料

転化糖とは、砂糖を分解して作られる、ぶどう糖と果糖がほぼ同じ割合で混ざった甘味料のことです。砂糖はショ糖という単一の糖で構成されていますが、転化糖はそれを分解することで、より単純な構造の糖類へと変化させます。この分解過程には、酸や酵素が用いられます。具体的には、砂糖に酸(例えば柑橘類の果汁や酸味料)を加えたり、インベルターゼという酵素を作用させたりすることで、ショ糖分子が分解され、ぶどう糖と果糖が生成されます。 転化糖という名前の由来は、特殊な装置で光の屈折を測定した際の性質の変化にあります。砂糖(ショ糖)は光をある方向に曲げる性質を持ちますが、分解されてぶどう糖と果糖になると、光の曲がる方向が変わります。この性質の変化が「転化」という名前の由来となっています。 菓子作りにおいては、転化糖はその特有の性質から、様々な役割を果たします。例えば、水分を保持する能力が高いため、菓子をしっとりと保つ効果があります。また、熱を加えた際に色が付きやすい性質を利用して、焼き色を美しく仕上げることも可能です。さらに、砂糖の結晶化を防ぐ効果もあるため、なめらかな食感を保ちたい菓子にも適しています。このように、転化糖は菓子の品質を向上させるための、非常に重要な役割を担っているのです。