
チョコレートの物性:イールド(降伏値)とは?
菓子の世界、特にチョコレートにおいては、専門的な言葉が品質を左右します。今回は「イールド」について解説しましょう。これは英語の「yield value」に由来し、チョコレートの流動性を表す重要な指標です。辞書的な意味合いには「屈する」といった意味がありますが、チョコレートにおいては、静止状態から流れ出すために必要な最小限の力を指します。イールドが高いチョコレートは、見た目は柔らかそうでも実際には流れにくく、「ボテる」状態になります。この「ボテる」とは、チョコレートが滑らかに流れず、塊のようになってしまう様子を意味します。製造においては、イールドの調整が不可欠です。例えば、表面を覆うチョコレートは薄く均一に広がるようにイールドを低く、生チョコレートのように形状を保つ必要があるものはある程度のイールドが必要となります。このように、イールドは種類や用途によって最適な値が異なるため、製造者は常に注意深く調整する必要があります。