
洋菓子に華を添える魔法の一滴:キルシュの魅力
キルシュは、正式にはキルシュワッサーと呼ばれ、欧州、特に独国、瑞士、仏国などで古くから作られている、さくらんぼを原料とする蒸留酒です。通常の葡萄を原料とする酒精飲料とは異なり、キルシュはさくらんぼを丸ごと、つまり果肉はもちろん種子まで一緒に発酵させて造られる点が大きく異なります。この種子ごと発酵させる製法が、キルシュ特有の風味を生み出す秘訣です。さくらんぼの種類も多種多様で、地域や製造元によって用いる品種が異なり、それによってキルシュの香りや味わいも大きく変化します。酒精度数は概ね40度前後と高めですが、その分、凝縮されたさくらんぼの香りと風味が堪能できます。キルシュはそのまま飲むこともできますが、その芳醇な香りを活かして、洋菓子の材料として広く用いられています。とりわけ、焼き菓子や黒 шоколад、果物を使った甘味などとの相性が抜群で、少量加えるだけで、味わいに深みと複雑さを与え、全体を引き締める効果があります。また、キルシュは、単に風味を加えるだけでなく、素材の香りを引き立てたり、酒精の効果で保存性を高めたりする役目も担っています。まさに、洋菓子作りの名脇役と言えるでしょう。