ドレ

記事数:(1)

技法

洋菓子の化粧術:ドレで魅せる焼き菓子の輝き

洋菓子作りの世界で「ドレ」とは、生地の表面に施す液体のことを指します。その主な役割は、焼き上がりの色艶を美しくし、風味を閉じ込めることにあります。基本的には、鶏卵の黄身を水や牛乳、生クリームなどで溶いたものが用いられ、刷毛で丁寧に塗布します。この一手間を加えることで、焼き菓子は見た目の美しさだけでなく、乾燥を防ぎ、より風味豊かに仕上がるのです。 特に、重ねて焼き上げる菓子や、台状の焼き菓子においては、ドレの有無が最終的な出来栄えを大きく左右します。均一に塗ることで、焼きムラを防ぎ、見た目の完成度を高めます。また、ドレの種類を変えることで、焼き色の濃淡を調整したり、独自の風味を加えたりすることも可能です。例えば、鶏卵の黄身だけを使用すると、濃い焼き色がつきやすく、牛乳を加えると穏やかな焼き色になります。さらに、蜂蜜などを加えることで、甘さと香りを添えることもできます。 ドレは、洋菓子職人にとって、焼き菓子の魅力を最大限に引き出すための、欠かせない技術の一つと言えるでしょう。手間を惜しまずドレを施すことで、手作りの温かさと洗練された美しさを兼ね備えた、特別な焼き菓子を作り上げることができるのです。