
和菓子の伝統技法:甘露煮の世界
甘露煮は、日本の伝統的な保存食であり、素材の風味を活かした独特の甘みが特徴です。果物、魚介類、山菜などを、醤油、砂糖、みりんなどで時間をかけて煮詰めることで作られます。この製法により、素材は照りが出て美しく仕上がり、長期保存が可能になります。「甘露」という名前は、文字通り「甘い露」を意味し、口に含むと上品な甘さが広がります。素材の持ち味を損なわず、調味料の旨味を染み込ませることで、奥深い味わいが生まれます。煮詰める時間や調味料の配合によって甘さや風味が調整できるため、地域や家庭ごとに様々な甘露煮が存在します。鮎の甘露煮は骨まで柔らかく、栗の甘露煮はおせち料理にも使われます。近年では、甘露煮の製法を応用した新しい商品も開発されており、その可能性は広がっています。