茶席

記事数:(3)

半製品

煉切の魅力:繊細な意匠を凝らした和菓子の芸術

煉切は、和菓子の中でも特に上生菓子という格式高い種類を代表する材料です。その持ち味は、何と言ってもなめらかでしっとりとした独特の舌触りと、職人の技が光る繊細な見た目です。基本的には白餡を使い、砂糖や餅の粉、または山芋などを加えて丹念に練り上げて作られます。この練り上げる工程こそが、「煉切」という名前の由来となっています。色付けも自由自在で、自然由来の着色料などを用いて、日本の四季折々の美しい色彩を表現します。春は桜色や若草色、秋には紅葉のような赤や黄色など、季節感あふれる色合いが特徴です。茶席で出される主菓子として、その上品な甘さと美しさが、お茶の風味を一層引き立てます。単なる甘味としてだけでなく、日本の文化や美意識を形にした工芸品としての側面も持ち合わせています。口にした時のなめらかな舌触りと、見た目の美しさは、五感を通して日本の伝統を感じさせてくれるでしょう。職人の熟練の技によって、さまざまな形や模様が表現され、その一つ一つに意味や願いが込められていることもあります。例えば、鶴や亀は長寿の象徴、松竹梅は縁起物として、古くから親しまれてきました。これらは贈り物としても喜ばれ、お祝いの席などを華やかに彩ります。
製品

有平糖:繊細な甘さの芸術

有平糖という雅な名前からは想像しにくいかもしれませんが、その起源は遠い異国にあります。ポルトガル語の「ALFELOA(砂糖)」が変化した言葉が語源とされ、南蛮菓子の一種として日本に伝わりました。「阿留平糖」という漢字表記からも、当時の人々が異文化に触れた驚きと、それを積極的に取り入れようとした様子がうかがえます。江戸時代中期になると、砂糖が庶民にも普及し、有平糖は単なる甘味としてだけでなく、その美しい色彩と形状を活かした工芸品としての価値を高めていきました。季節の風景を表現した繊細な細工菓子は、贈り物としても重宝され、人々の生活に華を添えていたことでしょう。貴重な砂糖を使い、職人の熟練した技術と豊かな創造性が融合した有平糖は、日本の菓子文化の発展を語る上で重要な存在です。
製品

日本の伝統菓子:打物の魅力と製法

打物とは、日本の伝統的な干菓子の一種で、主に寒梅粉や微塵粉などの穀粉に砂糖を加えて作られます。これらの材料を混ぜ合わせ、水分を加えてしっとりさせた後、様々な形が彫られた木型で成形します。打物の最大の魅力は、繊細な造形美と上品な甘さです。口に入れると、ほろりと崩れるような口溶けの良さも特徴です。落雁は打物の代表的なもので、その歴史は江戸時代後期に遡ります。当時は慶事や仏事の引き出物として重宝され、鶴亀や鯛、松竹梅などの縁起の良いものや、人形を模した華やかなものが人気でした。現在では、四季折々の風景をかたどった小さくて愛らしい干菓子として、茶席などで楽しまれています。打物の製法には、打ち出しと型押しというわずかな違いがあり、それぞれに独特の風合いがあります。どちらの製法でも、穀物の風味を生かし、上品な甘さと口溶けの良さを実現し、型崩れしない成形が重要です。