
洋菓子と和菓子におけるヴァニーユ(バニラ)の役割と魅力
甘く芳醇な香りを放つヴァニーユ(バニラ)は、熱帯地方原産のつる性植物、ヴァニラの木から採れる香料です。特にバニラ豆と呼ばれる実は、菓子作りに欠かせない存在として世界中で愛されています。その起源は古く、メキシコのアステカ文明で珍重されていました。その後、海を渡り欧州の貴族たちを魅了したと伝えられています。現代では、マダガスカル、インドネシア、メキシコなどが主な産地として知られています。
バニラの香りは、主成分であるバニリンに加え、数百種類もの芳香成分が複雑に絡み合って生まれます。単なる甘さだけではなく、深みや温かみを感じさせる奥深い香りが特徴です。ブルボン種は濃厚で甘く、タヒチ種は華やかで果実のような香り、メキシコ種は香辛料のような風味と、種類によって香りも様々です。
バニラ豆そのものだけでなく、アルコールに浸して香りを抽出した液体や、豆をすり潰したペースト、砂糖に香りを移した粉末など、様々な形態で使用されます。洋菓子はもちろんのこと、近年では和菓子の世界にもその魅力が広がり、風味を引き立てる名脇役として活躍しています。