millefeuille

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ケーキ

魅惑の重奏:ミルフィーユの奥深い魅力

「千枚の葉」を意味する仏語に由来する菓子の名は、その特徴である幾重にも重なった生地の食感を良く表しています。発祥は定かではありませんが、17世紀末から18世紀初頭の仏国で生まれたと考えられています。当初は、現在のものとは異なり、パイ生地に杏の風味のクリームや果実の甘露煮などを挟んだ簡素なものでした。時を経て、濃厚な卵風味のクリームや乳脂肪分の高いクリーム、果物などを挟むようになり、現在のような華やかな姿へと変化しました。我が国へは、明治時代に西洋の文化が流入する中で紹介され、洋菓子店を中心に広まりました。最初は高級な菓子という印象が強かったものの、技術の進歩や材料の多様化により、より気軽に楽しめる菓子として、広く親しまれるようになりました。現在では、伝統的な卵風味のクリームを使ったものだけでなく、濃茶風味のクリームや季節の果物を使ったものなど、様々な種類があります。また、生地の食感やクリームの風味、飾り付けなど、各店が独自の工夫を凝らしており、その多様性も魅力の一つと言えるでしょう。この菓子は、単なる焼き菓子という枠を超え、仏国の菓子文化を象徴する存在として、世界中で愛されています。